袴島南の沈み磯でいつものようにメバルを釣っていた。水面を不器用な泳ぎで近づいてくる。
「おおっ!オコゼじゃないか?」とタモを入れすくい上げた。明らかにオコゼじゃないんだが
なんじゃろう?おっかなびっくり指先で突っついてみると、ワラビ餅の様なブヨブヨの感触で、
陸上では形を保てないほど体はグニャグニャ。体は黒と黄色の斑模様で側面には艶消しの
丸い模様が二つある。腹びれと尻びれは肉太で手足のようだ。よ〜く見ると、目の上あたりに
小さな寄生虫の様な物が付いていて、こりゃあ「アンコウのちょうちん」に違いない!アンコウ
の子供かも知れない?珍しいので持って帰り冷凍庫に入れた。その夜、インターネットで調べ
てみると、出てきた出てきた。アンコウの系統からイザリウオの一種だとすぐ解ったんだが、
ダイバーに人気のイザリウオ(赤や黄色)ばかり載っていて、お目当ての虎模様の種類は
記載が少ないのだ。

イザリウオはアンコウ目>イザリウオ亜目>イザリウオ科に属するグループで、怪奇趣味の
他のアンコウ類と異なり、カラフルだったり可愛かったりするので、かなり人気が有ります。
ハナオコゼはアンコウ目>イザリウオ亜目>イザリウオ科>イザリウオ亜科>ハナオコゼ属>に
属し、ハナオコゼの縞紋型はシマイザリウオと模様が似ていますが、ハナオコゼの釣竿は
非常に太く、機敏な動きが出来ません。イザリウオの皮膚がざらざらなのに対しハナオコゼ
の皮膚はぬるぬるしてます。アンコウ目の中でハナオコゼだけは浅瀬に生息し、流れ藻に
紛れて移動します。 さほど珍しくもないのか??? 目の上の釣り竿は頭に竿格納用の
くぼみがあって、普段はピッタリ収納されているんだ。知ってた?

 ちなみに嫌われ者でおなじみ「ハオコゼ」(地方名ヒメ)は「ハナオコゼ」とは関係ありません。